まるで陶を食べるかのごとくはじめのひとさら。
桜上水のカモシカはオカズデザインさんのギャラリーです。そちらで、五月女寛さん、蒜山耕藝さんの二人展「つつむ」の中での特別なお食事会がありました。広島のギャラリー「kanchukyo」のよこたよしかさんのお料理をいただくという会でした。
目に見えないけれど確かに感じる大地や根の力をテーマに、蒜山耕藝の作物をはじめ、この土地の湧き水や食材でのフルコースです。
一皿ごとが作品であり、時間も、手間も、イメージも、言葉も、見えるもの、見えないもの
すべてを食べてしまう感じ。まるで頭の中の物語も。
テーブルを囲んで、みなさんそれぞれきっといろんなストーリーがあったんじゃないかな。なによりつくっているひとのワクワクが伝わってきて、キッチンをのぞいたらにこにこで、静謐なアート作品のようなお皿が、いたずらっこが作ったもののようにも感じられて、愉快な気持ちにもなりました。
どれも特別でした。ストーリがあり、気が遠くなるような時間がかかっているにもかかわらず、究極にシンプルです。
海をすくう。という一皿がありました。昆布であることはわかるけれど。。
どうしてこんなに美味しいんだろうと、最期に質問しました。
昆布の根っこの部分を本当に贅沢にふんだんに使って、煮立たせないように、ふつふつまわりに気泡があるくらいの火加減で3時間ゆっくりゆっくり煮たんですよ。と教えてくださいました。
半分を葛で綴じて。半分をさらさらで。鰹菜という出汁みたいな菜っ葉と一緒に。
作っている姿が目に浮かんできます。きっと目を閉じたり、香りをかいだり、まぜたり、じーっと音をきいたり、鍋の前でしていらっしゃるのでしょうね。
前に、ケーキやさんの男の子が、その友達のケーキやさんのケーキをたべると彼そのものを食べているみたいで、恥ずかしいけど本当にそう思うといっていたことをぼんやり思い出しました。
みんなで笑いながら、食べたことも宝もののよう。