寒さを感じる写真が好きだった

 

こんばんは。お久しぶりです。

すっかりのんびりしていたら、前の更新からひと月も経っていました。

 

 

私は元気にしています。皆さんはお元気ですか。

 

写真は石川直樹さんの「この星の光の地図を写す」という展示で撮ったもの。

旅をテーマに写真を撮り続けている方です。ちょっとやそっとの旅じゃなく、垂直方向にも、水平方向にもかなりの移動距離です。買った写真集を見ても心臓がキュッとなるような場所でテントが張られていたりします。

 

 

見に行った日がアーチストトークがあるという時だったみたいで、ぐるりと先に見てから、もう一度入口に戻り、200人くらいで展示会場でお話を聞きながら見みて回るというなかなかレアな経験をしました。

ズームは使わず、コダックの10枚入りのネガフィルムを使う。自分と相手や場所tの関係性、距離感を撮っているという話がとても印象に残っています。体を使って移動して、写真を撮り続けている人です。

 

その後、石川さんと、環royさんのトークイベントにも行く機会があって、何を話すかも決めていなかったみたいだし、二人ともあんまりにマイペースで、探り合いながら話が進んでいくし、共通点が一見なさそうでどうなるんだろうと結構ワクワクしながら聞いていました。

 

環さんのラップが途中さらりと始まって、初めて聞く生のラップは面白かった。環さんも行っていたけれど、ラップは録音されたものや、録画されたものを流してもあまり伝わらない。その場所のものだからっていう話がなかなか興味深かったです。

韻をふんでいく音のラインと、意味のライン、の交わり。

 

石川さんが話していた、「「写真を撮るときはどんどん自意識を排除したい。でも展示をするときはもちろん、色々考えなければいけないし、その葛藤の合間にいる感じずっと。」という話が耳に残っています。

 

 

 

 

 

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映画「バーニング」をみて

 

日々楽しく、美しく、いろんな人とお会いしたり、感動したり。

充実しているのですが、なかなか文章を書けなかった(書かなかった?)のには訳があります。

 

それは、いくつか頭の中を占めていたことがあったからです。でも書かないと忘れてしまうから、ちょっとずつ書いていきますね。


その中の一つ目に、イ チャンドン監督の「バーニング」をみたことがあります。吉祥寺のアップリンクでみました。

見終わった後、街を歩いて、私も、誰も本当は存在しないんじゃないのって思うくらい不安になるような作品でした。

 

明るい作品とはとても言えないのですが、見終わった後もずっと存在について、ふと気がついたら考えているように思います。

村上春樹作の短編をもとに映像化されたものですが、書かれたのは80年代で、しかも純文学。ミステリーでさえない。

村上さんの作品を読むときにいつも感じる、不穏さとか、言葉の奥にある描かれない何かそのものがどろりとそこにある感じでした。映画の途中までは、あの雰囲気を映像で描けるってすごいなあなんて、のんきに見ていたんですけれど。。ムムム。

 

実存が薄くなってしまうことのメタファー。

美しい映像と、主人公のヒロインへの想いだけが純粋で、暗さ、不穏さと、虚しさ、根底にある怒り。不在について。対比と境界。

 

 

イ・チャンドン監督はインタビューで「現在の韓国の若者たちの怒りを描こうとした」と話されていた記事をみました。

『バーニング』には、経済格差、若者の就職難、離農、農村の過疎化、整形、若い女性のローン破産、都会での孤立などの韓国の現実がバックグラウンドに描かれているけれど、それはきっと、韓国だけの問題ではないのでしょう。幾通りにも解釈が可能な映画で、見た人それぞれが何かを思ったり思わなかったりするんだと思います。

 

世界で起きている現象に目を向けて、人生の意味を探している存在として主人公のジョンスはこの映画の中に登場してきます。

 

楽しかったり感動的だったり意味のあるシナリオで映画を作れればいいのだけれど、なんだか自分ではそれでは十分でないような気がしてしまうともインタビューで監督は話していました。それって、とても監督としては大変な葛藤のよう。

 

投げかけられた問いを、いつかの瞬間に考えるような、見てよかったと思える映画でした。

 

しかし、主人公ジョンス役のユ・アインが、あのソンギュンガンのコロ先輩だったなんて!終わった後にあの俳優さんどこかで見たことがあるなあと調べてはじめて気がつきましたよ。すごい俳優さんになったんだなあ。

 

 

 

 

 

 

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花見のある一日

 

水曜に散歩した千鳥ヶ淵は、満開にはまだ遠く、来週あたりが見頃でしょうか。

やっぱり目の前に桜色が広がると、気持ちが華やぎます。わーって声を出したくなる。

 

九段下から、千鳥ヶ淵、皇居東御苑の中を通って東京駅まで。ゆっくり歩いて1時間半くらいかな丁度良いお散歩コースです。

御苑の中は、のんびりしていて、穏やかでした。お庭の桜の方が早く開いていました。

 

そのあとはコルビジェの好きなお友達に便乗し、久しぶりに上野まで足をのばしました。

 

「コルビジェ 絵画から建築へ」

若きコルビュジエや、その友人たちの、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面にわたった約10年間の活動の展示。

私は全く詳しくないけど、国立西洋美術館の建物自体がコルビジェの設計でその建物の中で過ごしながら、彼やその友人たちの絵画を眺めるっていいなとすごく思ったし、なんだかたくさん太陽を浴びて眠くなってきた私たちは、優しい光の当たる中庭の見える喫茶室でのんびり休みました。

 

美術館の喫茶室っていいですよね。

上野はまさに桜が満開だったから、人もたくさんでした。

その喧騒を忘れるくらい、喫茶室では静かでのんびりといい時間でした。コルビジェの建物を眺めてゆっくりできるの最高。

 

 

 

 

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